インド文化講座


 パーンの研究 


新しいフラットに越してきてから、気になってしょうがなかったパーン屋さん。
私たちの住むフラットの門横には、違法開業ながらも創業17年の人気のパーン屋の屋台がある。
立派なおひげのパーン屋のおじさんに直撃取材なのだ!

ブリーチキャンディーのパーン屋さん
ムンバイの南青山こと
Breach Candyにあるパーン屋さん

 

 パーン屋大繁盛店主のおじさん、
シブパルサード・ティワリさん
(Shivprasad Thiwari)は、UP出身のブラーミン。代々家業がパーン屋で、17年前にムンバイのこの地に来て開業した老舗のパーン屋。親兄弟は地元や各地でパーン屋を営んでいる。右は甥のアシスタント。もっぱら、ビンロウジュの実を割る係り専属。朝9時から深夜11時までの営業で、大繁盛でお客はひっきりなし。高くても一つRs5(75円)のインド嗜好品パーンなれど、おじさんの胸元のピンクの宝石のシャツボタンが繁盛振りをうかがわせる。立派なおひげのお手入れにも余念がない。



さてさて、そのインドのパーンとはいったい何だろう?

アジアの各地では嗜好品としてよく、ビンロウジュの実をかんでいるのをご覧になったことはないだろうか?
カレーのしつこい辛さの後に、お口すっきりのマウスフレッシュの噛みタバコ、これがパーン。起源はかなり昔、アーリヤ以前といわれているそうで、アジア特有の嗜好品の一つだ。

 インドのパーンは、キンマというコショウ科に属するアリパティーという葉っぱ(緑の青しそを一回り大きくしたつややかな葉)に、ココナッツパウダー、カルダモン、丁子(クローブ)、コリアンダー、アニスなどカレーにもよく使われるスパイスにビンロウジュの実を入れて、丸めて食べる。中に入っているスパイスと唾液が混ざって化学反応を起こし、真っ赤な汁が出て、食べながらこの汁をぴゅーと飛ばすので、インドに来たときは「うぁ、そこらじゅうの人が喀血している!」とおもってぎょっとした。スパイスの生薬とレモンの酸が反応するらしい。
 このパーンの嗜好家たちの行儀がすこぶる悪くて、インドの街のあちこちに、この「真っ赤なピュー」の飛び散った跡が出来て、汚いことこの上ない。新しいフラットの塗りたての壁にもすぐこの「ピュー」が飛ぶので、最近はクリーン・ムンバイのキャンペーンには、「噛んだパーンのピュー」禁止のポスターもよく見かける。

 早速、私も一つ頼んでみることにする。「ミター(甘い)・パーン」一つね。毎日の、お出かけのとき、私を見て顔見知りのせいか、おじさんの張り切りようと、周りの野次馬のうるさい事といったら…。
みずみずしいキンマの葉@「キンマの葉っぱ」は、水の入ったバケツに入っている。
バケツが新品のせいか、とても衛生的な感じに見えてしまう。
キンマの裏側に生薬を塗るA葉っぱの裏側に
右のチュンナ(白いペースト)と
カート(ベージュ色のペースト)を塗る。
チュンナはレモンのエキスらしいが、
原料は何?ときいてもチュンナとしか
言わないのでよくわからない。
生薬
よくこねる B見よ、このすばやい指の動き。
2つの生薬を中指でこね合わせて広げる。
指は真っ赤かぁ〜。熟練の技。
これがパーンの中身Cいよいよパーンの中身をのせる。

左上から、緑の種はアニス、
スパリ(ビンロウジュの千切りジャム煮)、
カルダモン、
中段、同じくビンロウジュのジャム煮、
赤に銀色はカラック、
茶色は、クローブ。右はチェリーのシロップ煮、
下段、グルカンスイートという
ビンロウジュのジャム煮、
アリパティーというハーブの葉っぱの乾燥、
白はココナッツパウダー、
右下はビンロウジュを砕いただけのもの。
怪しいトッピングD限りなくサービスしてくれるみたいで、
全部種類を入れちゃうみたい。
かなり怪しくなってきた。
仕上げの不思議な粉各種Eさらに怪しい。よく正体の不明な粉各種。
仕上げにいろいろ振りかけてくれた
。シナモンやカルダモンの香りがする。
でもいったい何なのさ?ますます怪しい感じ。
テイクアウトのラッピングF「ここで食べるか」と聞かれたが、
パーンを注文した外人女が面白いと
野次馬が10人くらい集まってしまったので
「テイクアウト」といったら、ビニールに巻いて、
さらに「ほおの葉」みたいな葉っぱに包み、
紐までかけてくれた。
まるでトトロのお土産みたいだ。
テイクアウトしたパーンG家に帰って広げたところ。

結局のところ、ムンバイに来てすぐのころ、
パーンを食べて気持ちが悪くなった私は、
今回も端っこを少しかじって味見をしただけです。
甘くて美味しい。
いわゆるインドレストランの
食後に出てくるマウスフレッシュ程度のものでした。

 


     


 このパーン屋さんでは、キンマの葉っぱでくるまない中身だけのMawa(マワ)と呼ばれるパーン(Rs2)や、写真上右のような乾燥させた葉っぱに巻いたBeedi(ベディ)という葉巻(一本25パイサ、24本入りでRs4)とかも売っている。もちろん、普通のタバコ、マルボロとかもあるが、一本づつでも売ってくれる。お子様用にチューインガムやチキというインド版雷おこし(写真左、上段右)も売っている。パーンは小学生くらいの子どもにも人気だが、甘いのだけにしておきなさいよって、子どもを見かけると注意したくなる。

 うちのお父さんは少し前に、バングラ・パーンというのを試したそうだが、辛いのかうまいのか、よくわからなかったそうで、日本人が食べて美味しいものじゃなさそうです。仁丹の塊って感じね。

     



シブパルサードおじさん(42歳)のご立派なおひげと、おでこの赤いビンディは、冗談みたいだが本人はマジです。アシスタントの甥は、いつみてもほとんどビンロウジュ割りに専念している。違法営業なんで、時々取締りが厳しくなると、パラソルをはじめ商売度具を、うちのフラットの裏の物置に隠しに行く。

おまけだけど、このパーン屋さんはちゃんとゴミ箱も用意してあるのだ。

ネピアンシーロードとワーデンロードの交差点、
タルワーカー入り口にあるパーン屋さんは、
Webサイトも持っていた!
Muchhadのパーンサイト





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